japanese.china.org.cn | 09.09.2015

日中韓民間環境教育交流15年の成果とこれからの10年

タグ: 日中韓 民間 環境教育

 

このようにして発足した日中韓の民間レベルでの環境教育交流は、年1回の東アジア環境教育ワークショップ開催と年2~3回の中国での環境教育研修会実施をルーティーンな活動としてきたが、そこで実感したことは、日中韓三か国の環境教育はそれぞれ異なった特徴を有しているということであった。日本の環境教育は公害教育の流れを継承しつつ、自然との触れ合いや参加体験を重視しているのに対し、中国では環境問題を極力科学的に把握し、科学的な観点から分析・調査して対応策を見出し、それを政策に反映させて解決を図ることを重視していた。一方、韓国では1992年の教育課程改訂以後、「環境」科目が中学校と高校の選択科目に位置づけられ、「環境」という正規の教科書が存在していることであった。

そこで、2002年から、新たな具体的活動として、日中韓三か国の環境教育の長所を集約した日中韓共同編纂の環境教育教本を作成することとし、地球環境基金の助成を得て、『日中韓がいっしょに学ぶ環境』(試用本)の日本語版、中国語版、韓国語版を2004年に作成した。『日中韓がいっしょに学ぶ環境』はその後改訂版や指導者用冊子を刊行している。また、子どもたちの環境保護活動を漫画で紹介する冊子も刊行している。そのほか、2005年からは延べ4回、中国の大連、日本の宍道湖、韓国の密陽、日本の白川郷で環境教育を学ぶ日中韓の子どもたちを一堂に集めたキャンプを開催している。

過去15年間を振り返って、とりわけ印象深い事柄を二つ紹介したい。一つは、『日中韓がいっしょに学ぶ環境』の編集過程で韓国側がオオバコの茎を使う「草相撲」を取り上げることを提案したのに対して、中国側が「13億人が一斉に「草相撲」をしたら少ない緑がいっぺんになくなってしまう」と主張して却下されたこと。もう一つは、改訂版の編集過程で、中国側が砂漠化防止のため耐乾性と耐塩性の強いオーストラリアの植物を導入した事例を優れた事例として紹介したいと提案したのに対し、日本側が外来種導入の危険性を強く主張し、議論が夜半に及んで結局その善悪を学生たちに議論させるアクティビティにすることで決着したことである。

さる8月に開催された第14回東アジア環境教育ワークショップは、前半は東北の鞍山で、後半は新疆のクラマイへと広い中国を横断して、現地の教師研修会や子どもサマーキャンプの指導と合わせて行われたが、一つの転機を感じさせるものがあった。韓国公州大学の李在永さんが韓国で推進中の新しい教育課程で環境プロジェクトがますます重視される見込みであることを紹介し、北京師範大学の丁道勇さんはこれまでの東アジアの競争をベースにした教育に代る、協働をベースにした教育の必要性を主張した。これまで15年間におよぶ日中韓環境教育交流で、学習者中心の参加体験を重視した新たな学習方法を各国に広めるという点で一定の役割を果たしてきたと自負しているが、これからの10年では、新しい教育のあり方の全体像を提起し、その牽引役を果たすことになるのではないかと感じている。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年9月15日

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