japanese.china.org.cn | 21.09.2016

アジアの平和と安定を共に守ろう

タグ: 中日両国

文=元中国人民解放軍軍事科学院中米国防事務関係研究センター主任 姚雲竹

この数年、中日関係は改善に向かうプロセスを歩み始めたが、足取りは緩慢で複雑な要素の干渉をたびたび受けている。それでは、中日両国には安全保障と軍事分野でどのような意見の食い違いがあり、どうすれば食い違いを減らし、中日関係改善のプロセスを着実に推進できるのだろうか。

主要な食い違いと紛争

中日両国関係は全体的には好転の兆しが表れているが、依然としてぜい弱で不安定だ。安全保障と軍事分野において、双方の利益衝突と対立は極めてし烈であり、改善は顕著ではない。最も突出しているのは以下の問題だ。

第一に釣魚島主権紛争を中心とする東海の争議だ。2012年9月、日本政府の釣魚島「国有化」宣言以来、中日双方は一貫して鋭く対峙する情勢に置かれている。双方の軍艦、軍用機がいずれも釣魚島付近の海域、空域で活動を行い、艦船や航空機による異常接近事件もたびたび発生している。最終的には事故には至らなかったが、両国の法執行機関や軍事力が異常接近する確率は絶えず上昇しており、「銃が手入れ中に暴発する(5)」(思わぬ事故になること)のリスクもそれにつれて高まっている。

第二に、日本が近年南海問題で強気に干渉、関与する態度を取り、関係のない南海紛争に関して多くの無責任な発言をしていることだ。特に、7月12日にいわゆる「南海仲裁判決」の結果が明らかになると、日本は米国に追随して中国に圧力をかけ、岸田文雄外相は「判決」は最終結果で、当事国は必ず従わなければならないと述べた。彼は8月のフィリピン訪問中にも、「法の支配、海洋における安全保障を尊重するよう中国に促す」と述べ、国際ルールを順守していないと中国を名指しで非難した。

第三に、地域の安全保障上で議論される問題に対する日本の態度も、双方の軍事・安全保障関係に影響を与えている。7月8日、韓国と米国の国防部門は共に高高度迎撃ミサイルシステムTHAAD(サード)(6)の韓国への配備を発表し、中韓関係を後退させ、中米関係をいっそう複雑にした。続いて、あるメディアは日本政府もTHAADの配備を検討していると報道し、火に油を注いだ。このほか、台湾地区で民主進歩党が表舞台に上がると、日本の一部議員は米国の「台湾関係法」と類似の法律制定を扇動し、台湾海峡両岸事務にちょっかいを出した。こうしたことは、中国の日本に対する安全保障面での疑念をいっそう募らせた。

第四に、米国が推進するアジア太平洋地域リバランス戦略の中で日本が演じる役割の変化だ。日本は日米同盟の中で保護される立場だったが、次第に米国がアジア太平洋地域防衛配置の中流の砥柱へと転換し、ますます中国に対抗姿勢を強めている。これも中国にとって受け入れ難いものだ。

最後に、安倍内閣下での日本国内の政治環境も中国を懸念させている。例えば、国会で集団的自衛権行使を認める安保法案が可決され、軍事予算が増額された。今年7月に参議院選挙が行われ、平和憲法の改正を主張する勢力が3分の2の議席を獲得し、安倍内閣が憲法改正を行うための障害を取り除いた。こうした流れは、第2次世界大戦で侵略を受けた中国や他の国に懸念を抱かせる。

危機管理強化で衝突回避を

安全保障面での紛争は突発性と爆発性があり、もし管理制御が不良で、予防措置が不十分なら、たやすく中日関係を正常な軌道から突然逸脱させてしまう。紛争が解決できない状況にあって、現在双方は紛争と意見の食い違いの制御に尽力すべきである。まず、中日双方は共に「銃が手入れ中に暴発する」危機を誘発する状態が両国の国益に合致せず、また両国の望むところではないことを明確にしなければならない。次に、有効な危機管理制御メカニズムを打ち立てることも極めて重要だ。

 

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