japanese.china.org.cn | 21.09.2016

新常態には新たな貢献必要

タグ: 中日両国,新常態

文=中華日本学会会長 李薇

周知のように戦後71年来、サンフランシスコ平和条約や日米同盟関係などの制約のため、中日両国は東アジアの地政学の中で一貫して異なった政治的プラットホーム上にあり、こうした状況は客観的に中日両国の政治上に構造的矛盾の形成を招き、いったん両国や地域内外の条件に変化が生じると、こうした構造的矛盾はすぐに両国関係の発展を著しく阻害する。21世紀に入って以来、東アジアが世界で最も急速に成長し、高い潜在力を有する地域となるのに伴い、とりわけ中国経済の急速成長と国防能力の向上、さらに米国の戦略的重心のアジア太平洋へのシフト、日本の日米同盟関係強化といった一連の要素の影響もあって、中日間の構造的矛盾は中日関係に大きな衝撃を与えた。二国間関係(7)は「新常態(ニューノーマル)」に入っている。

中日関係の「新常態」とは

「新常態」について語るには、まず何が「常態」なのかを定義する必要がある。歴史的マクロな視野から見れば、中日の2000年に及ぶ友好交流という言い方は客観性が不足している。歴史上、中日間では多様な人的・文化的交流が行われてきたが、より長きにわたって相互に隔離された状態にあり、これによって形成されたのは文字が同じでも文脈が全く相通じない、分かりそうなのに徹底的に説明することができないという差異だ。こうした「敵にあらず友にあらず」の状態が中日関係が経てきた常態なのだ。

近代以来、両国は侵略と反侵略の戦争を経験し、また国交正常化以後の「蜜月期」を経てきたが、これは中日の歴史の長い川の流れの中では短い時期であり、常態でもない。21世紀に入ってからの両国間には戦略や政治関係上で対立や摩擦があるが、双方は基本的な安定を求めている。軍事・安全保障分野では対峙、争いがあっても、正面からの戦争は発生し難い。経済・貿易関係では交流が行われ、互恵を追求している。人や文化・社会の交流面の拡大は段階的で、相互認識がなかなか向上しない。簡単に言えば、和して同調せず、争って破局せず、互恵、往来が絶えずという新たな現象であり、歴史上これら四つの状態が同時に存在することはかつてなく、よって「新」というわけだ。

一つ肯定できるのは、重要な対外戦略の方針面で、中日は戦略と大局的レベルで相手方に対する評価、位置付け、核心的対策が基本的に確立されており、双方は両国関係をそれぞれの全体的な大戦略の枠組みの中に入れて構想、処理に全力を尽くしていることだ。

日本の戦略面のエリートは二国間関係について比較的長期の観察を行い、21世紀の日本外交全体における最大課題は対中国外交だと認識している。2013年の日本の「国家安全保障戦略」システムは対中国の方針と防衛戦略を打ち出しており、防衛計画の大綱が対象とする主な目標は「中国の脅威」であり、戦略的懸念と警戒がどの時代よりも強烈だ。安全保障関係では非良性的変化を見せている。このほか、日本は米国のアジア太平洋地域戦略重心シフトの影響を深く受け、この空間的・時間的契機を利用して国家発展戦略を調整しようとしている。このため、こうした態勢は短・中期のうちに転換することは難しい。

中国は21世紀に中華民族の復興という目標を実現する。このため、中国はこれにふさわしい「新型大国関係」、アジアの「運命共同体」、「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)構想」などを打ち出した。中日関係の特殊性、すなわち双方には歴史認識の食い違いと釣魚島の主権紛争が存在し、また双方には地政学上の構造的矛盾が存在しているため、中国が対日関係について処理を行う上での困難をとりわけ大きくしている。例えば、中国の「親、誠、恵、容(周辺国と親しく付き合い、誠意を持って対し、中国の発展による恩恵を分かち合い、包容さを持つ)」の周辺外交大戦略や一帯一路構想であり、中日関係にとって、観念、秩序、経済、安全保障などの面において日本からの排斥が存在する。中国が提唱する「衝突せず、対抗せず、相互尊重、協力とウインウイン」の中米新型大国関係の方針も日本に適用するのは難しい。なぜなら日本は自身を同盟関係の中に置き、戦略配置は必ず米国の利益に合致しなければならないからだ。同時に、日本は米国と同様の強大な影響力を備えていないため、中日間の対立を多国間に、周辺に、メカニズムに向けて拡散し、エスカレートさせるやり方で、自身を大国の列から排除している。中国は中日二国間関係の上で、日本よりさらに強い回復の願いを抱いており、例えば何度も代々の友好を中日関係発展の根本目標とすると強調してきたが、日本は友好はすでに目的ではなく、ただの手段だと称している。以上の、双方の戦略配置上と認知上の食い違いが、中日新常態の長期化と複雑性を決定づけたのだ。

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