japanese.china.org.cn | 14.09.2015

中国で働く日本人:「洗練された東アジア文化」構築を望む

タグ: 東アジア文化,グローバル化,伝統文化

中国には伝統的に、周縁地域(例えば日本)の伝統を中国の伝統の派生とする見方がある。たとえば漢字は中原で生まれた後、中原周縁で新たな漢字が創作され、それがまた中原に還流され使用されてきた。中国文化が周縁で変化し、それを再び中国内部に取り込むという行為は、伝統的に見れば違和感のないものなのだ。

アニー・ベイビー(安妮宝貝)という作家がいる。彼女は90年代末にネットを通じてデビューした。当時は上海を中心に若手女性作家が雨後のタケノコのように出ていた頃だが、その中でほぼ唯一、現在も活躍する実力作家である。

数年前、彼女が責任編集するカルチャー誌『大方』が発刊された。創刊号では、ほぼ一冊まるごと村上春樹特集のような内容。加えて冒頭カラー写真では、3ページにわたって桜の写真が掲載されていた。撮影者は中国人だが、桜の持つ移ろいやすさ、もろさ、淡さを見事に表現していた。

続く第2号では、竹久夢二の絵が数多く掲載されているのと同時に、太宰治の短編小説「グッドバイ」の翻訳が載っていた。

そんな日本色の濃さを不思議に感じ、創刊号に掲載されていた彼女のエッセイを改めて読んでみた。それによると、彼女は京都や奈良を旅行しており、街並みや工芸品に深く感心している。柳宗悦の本も愛読書のようだ。そして陶磁器で有名な景徳鎮や南宋時代の風俗志「東京夢華録」と比較しながら、過去にあった中国の洗練された文化を「日本」の中に見出している。

日本、特に京都に訪れた中国人観光客もまた、しばしばそこに唐代の中国文化を見出す。彼らは日本文化に魅了されたというよりも、日本に残されている中国文化に魅了されている。リピーターの訪日中国人観光客が増えているが、その本当の理由は「爆買い」ではなく、古き良き中国文化が現代日本に残されているからではないだろうか。

一方、日本では、誰もが自国文化の源流が中国にあることを認識しているわりには、日本文化の独自性を強調する人が少なくない。「当初は中国の影響が強かったが、その後独自に進化した」といった考えである。

そのように言う人々は、中国文化からの影響を軽視して良いと考えているのだろうか。

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